Google Cloud の土台
学習用の環境を作る
無料トライアルに登録し、学習専用のプロジェクトに予算アラートを付け、Cloud Shell で gcloud を使えるようにします。予算アラートは通知だけで課金を止めないので、片付けはプロジェクトごと削除するのが一番確実です。
演習は、無料トライアルのクレジット (300 USD、90 日間) と、学習専用のプロジェクト 1 つで進めます。予算アラートはメールが届くだけで課金は止まらないので、学習を終えたらプロジェクトごと削除します。
無料トライアルと Free Tier は別の仕組み
2026 年 10 月時点のFree Program の説明 (公式)の記載です。
| 項目 | 無料トライアル | Free Tier |
|---|---|---|
| 中身 | 300 USD 分のクレジット | 対象サービスごとの毎月の無料枠 |
| 期間 | 90 日か、使い切るまで | 期限なし (30 日前の通知で変更あり) |
| 対象 | Google Cloud、Google Maps Platform、Firebase で有料の利用歴がなく、トライアルも初めての人 | 請求先アカウントを持つ人全員 |
| 例 | ほとんどのサービス | e2-micro 1 台 (us-west1、us-central1、us-east1)、Cloud Storage 5 GB-月 (米国)、BigQuery のクエリ 1 TiB と保存 10 GiB |
演習は us-central1 を使えば多くが Free Tier に収まり、超えた分はクレジットで払えます。トライアル中は、GPU、Windows Server の VM、割り当て (quota) の引き上げ、Marketplace、VMware Engine を使えませんが、演習では使いません。
登録はこのページに来た日にします。このページから試験対策までは、1 日 2 時間なら約 10.5 週で 90 日に収まりますが、1 時間なら約 21 週かかります。途中で 90 日が過ぎたら、有料アカウントにアップグレードし、Free Tier と予算アラートの範囲で続けます。
無料トライアルに登録する
- 個人の Google アカウントでログインし、無料トライアルのページから登録します。
- 国を選び、利用規約に同意し、支払い方法を登録します。0〜1 USD 程度の一時的な承認保留が入ることがありますが、請求ではありません。
- コンソールが開き、請求先アカウントと「My First Project」が自動で作られます。ID が覚えにくいので、学習用には別のプロジェクトを作ります。
学習専用のプロジェクトを作る
コンソール右上のアイコンから Cloud Shell を開き、以降のコマンドはここで実行します。
# プロジェクト ID は世界で一意。末尾に日時を付けて重複を避ける
PROJECT_ID="pca-lab-$(date +%m%d%H%M)"
gcloud projects create "$PROJECT_ID" --name="PCA Lab"
# 請求先アカウントの ID (XXXXXX-XXXXXX-XXXXXX の形) を調べて紐づける
gcloud billing accounts list
gcloud billing projects link "$PROJECT_ID" --billing-account=ここに請求先アカウントの ID
gcloud config set project "$PROJECT_ID"
echo "$PROJECT_ID"
新しいセッションではシェル変数が消えますが、PROJECT_ID=$(gcloud config get-value project) で戻せます。
予算アラートは課金を止めない
予算アラートは、利用額が予算の何 % に達したかをメールで知らせます。リソースは止まらないので、通知を受けたら自分で消しに行きます。
コンソールでは「お支払い」の「予算とアラート」で「予算を作成」を押し、次のように設定します。
- 範囲 (スコープ) で学習用のプロジェクトを選ぶ。
- 割引とクレジットの項目で、プロモーションのチェックを外す。既定ではトライアルのクレジットを差し引いた額で計算するので、外さないと利用額がほぼ 0 のままでアラートが鳴りません。
- 金額に、自腹で払ってもよい上限 (たとえば 1,000 円) を請求先アカウントの通貨で入れる。
- しきい値は既定の 50%、90%、100% のままにする。通知は請求先アカウントの管理者とユーザーに届きます。
gcloud なら次のとおりです。--credit-types-treatment=exclude-all-credits が手順 2 と同じ指定です。
gcloud services enable billingbudgets.googleapis.com
# 通貨は請求先アカウントの通貨と一致させる。USD の請求先アカウントなら 10USD など
gcloud billing budgets create \
--billing-account=ここに請求先アカウントの ID \
--display-name="pca-lab-budget" \
--budget-amount=1000JPY \
--filter-projects="projects/${PROJECT_ID}" \
--credit-types-treatment=exclude-all-credits \
--threshold-rule=percent=0.5 \
--threshold-rule=percent=0.9 \
--threshold-rule=percent=1.0
利用額は遅れて反映されるので、最初の通知まで数時間かかることがあります。課金そのものを止めたいなら、Cloud Run、Cloud Run functions、Gemini API、Gemini Enterprise Agent Platform に限り、1 つのサービスを対象に新しい利用を一時停止する spend cap (公式) の予算も作れます。
Cloud Shell と gcloud の初期設定
Cloud Shell は、ブラウザで使える Linux の端末です。gcloud が入っていて、ログイン中のアカウントで認証済みなので、手元の PC に何も入れずに演習できます。ホームディレクトリは 5 GB の永続ディスクで、120 日使わないと削除されます。それ以外の場所は、セッションが終わると消えてしまいます。利用は既定で週 50 時間、1 回のセッションは最長 12 時間です (仕組み (公式))。
gcloud auth list
gcloud config list
# 既定のリージョンとゾーン。Free Tier の対象に合わせる
gcloud config set compute/region us-central1
gcloud config set compute/zone us-central1-a
複数のプロジェクトを行き来するなら、gcloud config configurations create で構成を作り、activate で切り替えます。
試験ガイドのセクション 5.2 は、SDK として gcloud、gsutil、bq を挙げています。gsutil は古い Cloud Storage 用のツールで、公式は gcloud storage を勧めており、2027 年 3 月以降は Google Cloud CLI のパッケージから外れると告知しています。bq は BigQuery を操作します。
試してみる
API を有効にし、Cloud Storage にファイルを置き、BigQuery の一般公開データセットにクエリを投げます。どれも Free Tier の範囲です。
PROJECT_ID=$(gcloud config get-value project)
gcloud services list --enabled
gcloud services enable storage.googleapis.com bigquery.googleapis.com
BUCKET="gs://${PROJECT_ID}-lab"
gcloud storage buckets create "$BUCKET" --location=us-central1
echo "hello" > hello.txt
gcloud storage cp hello.txt "$BUCKET/"
gcloud storage ls "$BUCKET"
# 米国で多い名前の上位 5 件
bq query --use_legacy_sql=false \
'SELECT name, SUM(number) AS total
FROM `bigquery-public-data.usa_names.usa_1910_2013`
GROUP BY name ORDER BY total DESC LIMIT 5'
後片付けとして、バケットを中身ごと削除します。
gcloud storage rm --recursive "$BUCKET"
rm hello.txt
学習を終えたらプロジェクトごと削除する
プロジェクトを削除すれば、消し忘れたリソースもまとめて止まります。
gcloud projects delete "$PROJECT_ID"
削除したプロジェクトは 30 日間 DELETE_REQUESTED の状態で残り、gcloud projects undelete で戻せます。課金は止まりますが、今の請求期間の利用分は請求されることがあります。Cloud Storage や Pub/Sub のデータは 30 日を待たずに消えることがあり、プロジェクト ID は再利用できません (削除と復元 (公式))。
試験で問われる判断
自作の例です。実際の試験問題ではありません。
- 「費用が上限に近づいたら財務担当者に知らせたい」なら、予算としきい値の通知。「超えたら自動で止めたい」まで求められていれば、予算の Pub/Sub 通知を受けて Cloud Run functions などで止める構成を選びます。
- 「開発者の PC に何も入れずに gcloud と bq を使わせたい」なら Cloud Shell。踏み台の VM はパッチ当てと費用が余分にかかります。
- 「検証用のリソースを確実に全部消したい」なら、検証用のプロジェクトを削除します。
次のページでは、このプロジェクトが組織、フォルダ、請求先アカウントとどうつながっているかを読みます。