IT の基礎
クラウドとは何か
クラウドは、事業者のデータセンターにあるコンピュータをネットワーク越しに必要な分だけ借り、使った分だけ払う使い方です。IaaS、PaaS、SaaS のどれで借りるかによって、自分で管理する範囲が変わります。
クラウドは、Google のような事業者が持つコンピュータを、インターネット越しに必要な分だけ借りて、使った分だけ払う使い方です。自社でコンピュータを買って社内に置く使い方は、オンプレミスと呼びます。クラウドの借り方には IaaS、PaaS、SaaS の 3 つがあり、どれを選ぶかで「どこまでを自分で管理し、どこからを事業者に任せるか」が決まります。この境目を決めたものが責任共有モデルで、PCA の問題の多くは「この要件ならどこまで任せるか」を問うています。
サーバーとデータセンター
Web サイトを見るとき、手元のスマートフォンは、どこか別の場所にあるコンピュータに「このページをください」と頼んでいます。頼まれた仕事をこなすコンピュータをサーバーと呼びます。サーバーは止まると困るので、電源、冷房、回線、入館の警備をそろえた専用の建物にまとめて置きます。この建物がデータセンターです。
オンプレミスでは、サーバーもデータセンターも自社で用意します。クラウドでは、事業者が世界中に建てたデータセンターの中から、自分に要る分だけを借ります。
オンプレミスは最大に合わせて買い、クラウドは使う分だけ借りる
オンプレミスのサーバーは、注文してから届いて設置し終えるまで使えません。あとから足すのに時間がかかるので、一番混む日に合わせた台数を最初に買っておきます。すると、混まない日の大半は設備が遊んだままになります。
クラウドなら、画面で申し込めばその場でサーバーが使えるようになり、要らなくなれば返せます。アメリカ国立標準技術研究所 (NIST) が 2011 年に出した定義 (SP 800-145) は、クラウドの特徴を次の 5 つにまとめています。
- オンデマンド・セルフサービス: 事業者の担当者とやり取りせず、自分で申し込める
- 幅広いネットワークアクセス: ネットワーク越しに、パソコンやスマートフォンから使える
- リソースの共用: 事業者の設備を多くの利用者で分け合う
- スピーディな拡張性: 必要な量をすぐに増やしたり減らしたりできる
- サービスが計測可能: 使った量を測り、その量に応じて払う
IaaS、PaaS、SaaS は借りる範囲の違い
3 つの違いは、事業者がどこまでを用意してくれるかです。IaaS (Infrastructure as a Service) は仮想マシンまでを借ります。仮想マシンとは、1 台の物理サーバーをソフトウェアで区切って作った、何台分ものコンピュータのことです。OS (Windows や Linux のような、コンピュータを動かす基本のソフトウェア) から上は自分で入れます。PaaS (Platform as a Service) はアプリを動かす環境まで借り、自分はアプリのコードを渡すだけです。SaaS (Software as a Service) は完成したアプリを借り、利用者はそこにデータを入れて使います。
Google Cloud の公式の説明では、IaaS の例に Compute Engine と Cloud Storage、PaaS の例に App Engine、Google Kubernetes Engine (GKE)、BigQuery、SaaS の例に Google Workspace を挙げています。
責任共有モデルは、層ごとに管理者を決める
コンピュータの仕組みを、建物から順に積み重なった層として見ると、どの形を選ぶと誰が何を管理するかが分かります。下のシミュレーターで形を切り替えて、層の色が変わるところを確かめてください。
どの形を選んでも、データとアクセス権 (誰に何を見せ、何をさせるか) は利用者の責任です。Google Cloud の説明も、SaaS では大部分を Google が受け持つ一方、アクセスの制御と保存したデータは利用者の責任のままだと書いています。たとえば Cloud Storage に置いたファイルを誰でも読める設定にして情報が漏れたら、それは利用者の設定の問題です。
PaaS の境目は、サービスごとに少しずつ違います。シミュレーターの区切りは代表的な形で、実際には使うサービスのドキュメントで確かめます。
PCA ではこの境目を選ぶ理由として使う
PCA の問題では、同じ要件を満たせるなら、管理する層が少ない形を選ぶのが基本です。「運用の担当者がいない」「OS のパッチ当てをしたくない」と書かれていれば PaaS やサーバーレス (サーバーの管理を意識せずに使えるサービス) が候補になり、「OS の設定を細かく変えたい」「特定のライセンスが OS に紐づく」と書かれていれば IaaS の Compute Engine を選びます。この判断はコンピューティングの選び方で、製品ごとに詳しく扱います。
次のページでは、クラウドのサーバーどうしが相手を見分けるための番号、IP アドレスを扱います。