ドキュメント

IT の知識がない状態から PCA に合格するまでの順路です。上から順に読めば、試験ガイドの 6 セクションをすべて通ります。

  1. 0. はじめに

    1. このカリキュラムの進め方

      IT の知識ゼロから PCA 合格まで、7 章を順に進む順路です。合計 161 時間、1 日 1 時間なら約 28 週、2 時間なら約 14 週で終わります。

    2. PCA 試験の範囲と形式

      配点の 4 分の 1 はセクション 1 の設計と計画です。試験の形式、6 セクションの配点とこのカリキュラムの章の対応、ケーススタディの扱いをまとめます。

  2. 1. IT の基礎

    1. クラウドとは何か

      クラウドは、事業者のデータセンターにあるコンピュータをネットワーク越しに必要な分だけ借り、使った分だけ払う使い方です。IaaS、PaaS、SaaS のどれで借りるかによって、自分で管理する範囲が変わります。

    2. IP アドレスとサブネット

      IPv4 アドレスは 32 桁の 0 と 1 で、10.0.0.0/24 のような CIDR 表記は「先頭 24 桁が同じアドレスのまとまり」を表します。Google Cloud ではサブネットごとにこの範囲を決め、範囲が重なるネットワークどうしはそのままではつなげません。

    3. TCP、UDP、ポート

      データは小さなパケットに分けて送ります。届いたか確かめて欠けたら送り直すのが TCP、確かめずに送りっぱなしにするのが UDP で、届いた先のどのプログラムに渡すかはポート番号で決まります。

    4. HTTP と TLS

      Web の通信は、ブラウザが送るリクエストと、サーバーが返すレスポンスの 1 往復でできています。結果は 3 桁のステータスコードで返り、HTTPS では TLS が通信を暗号化し、証明書で相手が本物かを確かめます。

    5. DNS

      DNS は、www.example.com のような名前を IP アドレスに変える仕組みです。リゾルバがルート、TLD、権威サーバーの順に聞いて回り、答えを TTL の秒数だけキャッシュします。

    6. ルーティング、NAT、ファイアウォール

      パケットは、ルーティングテーブルで出口が決まり、NAT でアドレスを書き換えられ、ファイアウォールのルールで通すか止めるかが決まります。ルールは優先度の高い順に見て、最初に一致したもので決まります。

    7. ロードバランシングの基礎

      ロードバランサは、1 つの入口で受けたリクエストを複数のサーバーへ分け、応答しなくなったサーバーをヘルスチェックで自動的に外します。HTTP の中身まで見て振り分けるのが L7、IP アドレスとポートだけで振り分けるのが L4 です。

    8. Linux とコマンドライン

      クラウドのサーバーの多くは Linux で動き、画面のボタンではなく文字のコマンドで操作します。ファイルは / から始まる 1 本の木に並び、誰が読み書きできるかは権限の 9 文字で決まります。

    9. 仮想化とコンテナ

      1 台の物理サーバーを分けて使う方法は 2 つあり、VM は OS ごと分け、コンテナは OS を共有してアプリだけを分けます。コンテナのほうが軽く速く起動し、VM のほうが OS を自由に選べます。

    10. データベースの基礎

      データベースには、表と SQL で扱うリレーショナルと、形を固定せず大量のデータを速く扱う NoSQL があります。止まってもデータを失わないために複製を持ち、同期の複製は失わない代わりに書き込みが遅く、非同期は速い代わりに直近の書き込みを失うことがあります。

    11. 認証、認可、暗号化

      システムへのアクセスは、相手が誰かを確かめる認証と、その相手に操作を許すかを決める認可の 2 段階で判定します。暗号化は、通信の途中と保存先の 2 か所でデータを第三者に読ませないための仕組みです。

    12. 可用性と冗長化

      可用性は、システムが使える時間の割合です。部品を直列につなぐと全体の稼働率は下がり、同じ部品を並列に並べて冗長化すると上がります。

  3. 2. Google Cloud の土台

    1. 学習用の環境を作る

      無料トライアルに登録し、学習専用のプロジェクトに予算アラートを付け、Cloud Shell で gcloud を使えるようにします。予算アラートは通知だけで課金を止めないので、片付けはプロジェクトごと削除するのが一番確実です。

    2. リソース階層と請求

      Google Cloud のリソースは組織、フォルダ、プロジェクトの階層に置かれ、上で設定した権限とポリシーは下に引き継がれます。プロジェクトは環境とアプリの単位で分け、請求先アカウントは階層の外から各プロジェクトに紐づけます。

    3. IAM の基本

      IAM は「誰に、どのロールを、どのリソースで」付けるかを許可ポリシーとして書く仕組みです。ロールは事前定義ロールを基本にし、人にはグループ経由で、ワークロードにはサービスアカウントで権限を渡します。

    4. リージョン・ゾーンと可用性

      ゾーンは障害の区画で、リージョンは複数のゾーンを持つ独立した地域です。ゾーン障害に耐えるにはリージョン内の複数ゾーンに、リージョン障害に耐えるには複数リージョンに置きます。

  4. 3. サービスを選ぶ

    1. コンピューティングの選び方

      コンテナで動くなら Cloud Run から検討し、Kubernetes が要件にあれば GKE、OS やライセンスに手を入れる必要があれば Compute Engine を選びます。管理の少ないサービスでは満たせない条件があるかを、上から順に確かめるのが判断の軸です。

    2. ストレージとデータベースの選び方

      データの形 (オブジェクト、ファイル、ブロック、テーブル、ドキュメント、キーと値) で候補を絞り、規模と一貫性の要件で 1 つに決めます。リレーショナルなら Cloud SQL から始め、性能が足りなければ AlloyDB、グローバルに強い一貫性が要るなら Spanner へ進みます。

    3. データ処理と分析

      データの流れを、取り込み、加工、分析、順序の管理の 4 段に分けて、段ごとにサービスを選びます。イベントの取り込みは Pub/Sub、新しく書く加工は Dataflow、既存の Spark や Hadoop の処理は Managed Service for Apache Spark (旧 Dataproc)、分析は BigQuery が基本です。

    4. VPC の設計

      VPC はグローバル、サブネットはリージョンのリソースです。プロジェクトをまたいでネットワークを共有するなら Shared VPC、サービス 1 つを公開するなら Private Service Connect を選び、ロードバランサは HTTP(S) か、外部か内部か、グローバルかで決めます。

    5. オンプレミス・マルチクラウドとの接続

      インターネット経由で数 Gbps までなら HA VPN、専用線で大きな帯域が要るなら Dedicated Interconnect か Partner Interconnect、他のクラウドとは Cross-Cloud Interconnect を選びます。経路はどれも Cloud Router の BGP で交換します。

    6. AI と機械学習のサービス

      社員が業務で AI を使うなら Gemini Enterprise、自社のアプリに AI を組み込むなら Gemini Enterprise Agent Platform、画像の分類や文字起こしのような定型の処理なら事前構築済みの API を選びます。独自のモデルを学習するときだけ、Agent Platform Pipelines と AI Hypercomputer の出番になります。

  5. 4. 設計の判断

    1. Well-Architected Framework

      選択肢がどれも技術的に動くとき、答えを決めるのは Well-Architected Framework の 6 つの柱です。問題文から優先する柱を見つけ、譲る柱をはっきりさせて選びます。

    2. 要件からアーキテクチャを組む

      設計は要件を数字に直すところから始まります。機能要件と非機能要件を分け、非機能要件を数字に、ビジネスの言葉を技術の制約に読み替えてから選択肢を外します。

    3. セキュリティの設計

      IAM で「誰が何をできるか」を決めたあと、組織ポリシー、VPC Service Controls、鍵の管理、アクセス経路の制御を重ねて、権限を持つ人や盗まれた認証情報でもできることを狭めます。

    4. コンプライアンスとデータの所在

      Google Cloud が認証を取っていても、設定とデータの扱いの責任は利用者に残ります。データの所在はロケーションの選択と組織ポリシーで、より厳しい要件は Assured Workloads で、監査は Cloud Audit Logs で満たします。

    5. 可用性と災害復旧

      DR の構成は、許容できる停止時間 (RTO) と失ってよいデータの時間幅 (RPO) から逆算して選びます。どちらも短いほど、待機側で動かしておくものが増え、費用が上がります。

    6. 移行の計画

      移行は、Migration Center で今あるものを棚卸しし、ワークロードごとに移行の型を決め、移すものの種類で道具を選ぶ順に進めます。

    7. コストの最適化

      費用は、使っていないものを止めてサイズを合わせ、残った常時稼働の分に確約利用割引を買い、止まってよい処理を Spot VM に回す順で下げます。

  6. 5. 実装と運用

    1. IaC とデリバリー

      インフラは Terraform で書き、アプリは Cloud Build でビルドして Artifact Registry に置き、Cloud Deploy で段階的に出します。試験では、手作業を減らし、問題が出たらすぐ戻せる構成が正解になります。

    2. 可観測性と信頼性の運用

      指標は Cloud Monitoring、ログは Cloud Logging、遅延の内訳は Cloud Trace で見ます。アラートは原因ではなくユーザーが受ける影響に付け、SLO とエラーバジェットでリリースの速さと信頼性の釣り合いを決めます。

    3. 業務プロセスと組織

      試験ガイド 4.2 の設問は、技術の知識がなくても選べる形で出ます。事業の目的に照らして関係者の懸念を先に聞き、小さく試し、チームが運用できるものを選ぶ答えが正解になります。

  7. 6. 試験対策

    1. ケーススタディの読み方

      4 社の資料は同じ 6 つの節でできていて、要件の 1 行ごとに答えの候補になるサービスが決まります。各社の要件を、このカリキュラムのどのページで解けるかに対応付けます。

    2. 問題の解き方

      PCA の選択肢は、どれも技術的には動くことが多い問題です。設問の制約語を先に拾い、Google の推奨に反する選択肢から消すと、迷いが 2 択までに減ります。

    3. 直前 2 週間と試験当日

      最後の 2 週間は新しいことを学ばず、公式サンプル問題で弱点を見つけて該当ページに戻ります。申し込みは CM Connect から行い、オンライン受験なら前日までに OnVUE のシステムテストを済ませます。