ドキュメント
IT の知識がない状態から PCA に合格するまでの順路です。上から順に読めば、試験ガイドの 6 セクションをすべて通ります。
0. はじめに
1. IT の基礎
- クラウドとは何か
クラウドは、事業者のデータセンターにあるコンピュータをネットワーク越しに必要な分だけ借り、使った分だけ払う使い方です。IaaS、PaaS、SaaS のどれで借りるかによって、自分で管理する範囲が変わります。
- IP アドレスとサブネット
IPv4 アドレスは 32 桁の 0 と 1 で、10.0.0.0/24 のような CIDR 表記は「先頭 24 桁が同じアドレスのまとまり」を表します。Google Cloud ではサブネットごとにこの範囲を決め、範囲が重なるネットワークどうしはそのままではつなげません。
- TCP、UDP、ポート
データは小さなパケットに分けて送ります。届いたか確かめて欠けたら送り直すのが TCP、確かめずに送りっぱなしにするのが UDP で、届いた先のどのプログラムに渡すかはポート番号で決まります。
- HTTP と TLS
Web の通信は、ブラウザが送るリクエストと、サーバーが返すレスポンスの 1 往復でできています。結果は 3 桁のステータスコードで返り、HTTPS では TLS が通信を暗号化し、証明書で相手が本物かを確かめます。
- DNS
DNS は、www.example.com のような名前を IP アドレスに変える仕組みです。リゾルバがルート、TLD、権威サーバーの順に聞いて回り、答えを TTL の秒数だけキャッシュします。
- ルーティング、NAT、ファイアウォール
パケットは、ルーティングテーブルで出口が決まり、NAT でアドレスを書き換えられ、ファイアウォールのルールで通すか止めるかが決まります。ルールは優先度の高い順に見て、最初に一致したもので決まります。
- ロードバランシングの基礎
ロードバランサは、1 つの入口で受けたリクエストを複数のサーバーへ分け、応答しなくなったサーバーをヘルスチェックで自動的に外します。HTTP の中身まで見て振り分けるのが L7、IP アドレスとポートだけで振り分けるのが L4 です。
- Linux とコマンドライン
クラウドのサーバーの多くは Linux で動き、画面のボタンではなく文字のコマンドで操作します。ファイルは / から始まる 1 本の木に並び、誰が読み書きできるかは権限の 9 文字で決まります。
- 仮想化とコンテナ
1 台の物理サーバーを分けて使う方法は 2 つあり、VM は OS ごと分け、コンテナは OS を共有してアプリだけを分けます。コンテナのほうが軽く速く起動し、VM のほうが OS を自由に選べます。
- データベースの基礎
データベースには、表と SQL で扱うリレーショナルと、形を固定せず大量のデータを速く扱う NoSQL があります。止まってもデータを失わないために複製を持ち、同期の複製は失わない代わりに書き込みが遅く、非同期は速い代わりに直近の書き込みを失うことがあります。
- 認証、認可、暗号化
システムへのアクセスは、相手が誰かを確かめる認証と、その相手に操作を許すかを決める認可の 2 段階で判定します。暗号化は、通信の途中と保存先の 2 か所でデータを第三者に読ませないための仕組みです。
- 可用性と冗長化
可用性は、システムが使える時間の割合です。部品を直列につなぐと全体の稼働率は下がり、同じ部品を並列に並べて冗長化すると上がります。
- クラウドとは何か
2. Google Cloud の土台
- 学習用の環境を作る
無料トライアルに登録し、学習専用のプロジェクトに予算アラートを付け、Cloud Shell で gcloud を使えるようにします。予算アラートは通知だけで課金を止めないので、片付けはプロジェクトごと削除するのが一番確実です。
- リソース階層と請求
Google Cloud のリソースは組織、フォルダ、プロジェクトの階層に置かれ、上で設定した権限とポリシーは下に引き継がれます。プロジェクトは環境とアプリの単位で分け、請求先アカウントは階層の外から各プロジェクトに紐づけます。
- IAM の基本
IAM は「誰に、どのロールを、どのリソースで」付けるかを許可ポリシーとして書く仕組みです。ロールは事前定義ロールを基本にし、人にはグループ経由で、ワークロードにはサービスアカウントで権限を渡します。
- リージョン・ゾーンと可用性
ゾーンは障害の区画で、リージョンは複数のゾーンを持つ独立した地域です。ゾーン障害に耐えるにはリージョン内の複数ゾーンに、リージョン障害に耐えるには複数リージョンに置きます。
- 学習用の環境を作る
3. サービスを選ぶ
- コンピューティングの選び方
コンテナで動くなら Cloud Run から検討し、Kubernetes が要件にあれば GKE、OS やライセンスに手を入れる必要があれば Compute Engine を選びます。管理の少ないサービスでは満たせない条件があるかを、上から順に確かめるのが判断の軸です。
- ストレージとデータベースの選び方
データの形 (オブジェクト、ファイル、ブロック、テーブル、ドキュメント、キーと値) で候補を絞り、規模と一貫性の要件で 1 つに決めます。リレーショナルなら Cloud SQL から始め、性能が足りなければ AlloyDB、グローバルに強い一貫性が要るなら Spanner へ進みます。
- データ処理と分析
データの流れを、取り込み、加工、分析、順序の管理の 4 段に分けて、段ごとにサービスを選びます。イベントの取り込みは Pub/Sub、新しく書く加工は Dataflow、既存の Spark や Hadoop の処理は Managed Service for Apache Spark (旧 Dataproc)、分析は BigQuery が基本です。
- VPC の設計
VPC はグローバル、サブネットはリージョンのリソースです。プロジェクトをまたいでネットワークを共有するなら Shared VPC、サービス 1 つを公開するなら Private Service Connect を選び、ロードバランサは HTTP(S) か、外部か内部か、グローバルかで決めます。
- オンプレミス・マルチクラウドとの接続
インターネット経由で数 Gbps までなら HA VPN、専用線で大きな帯域が要るなら Dedicated Interconnect か Partner Interconnect、他のクラウドとは Cross-Cloud Interconnect を選びます。経路はどれも Cloud Router の BGP で交換します。
- AI と機械学習のサービス
社員が業務で AI を使うなら Gemini Enterprise、自社のアプリに AI を組み込むなら Gemini Enterprise Agent Platform、画像の分類や文字起こしのような定型の処理なら事前構築済みの API を選びます。独自のモデルを学習するときだけ、Agent Platform Pipelines と AI Hypercomputer の出番になります。
- コンピューティングの選び方
4. 設計の判断
- Well-Architected Framework
選択肢がどれも技術的に動くとき、答えを決めるのは Well-Architected Framework の 6 つの柱です。問題文から優先する柱を見つけ、譲る柱をはっきりさせて選びます。
- 要件からアーキテクチャを組む
設計は要件を数字に直すところから始まります。機能要件と非機能要件を分け、非機能要件を数字に、ビジネスの言葉を技術の制約に読み替えてから選択肢を外します。
- セキュリティの設計
IAM で「誰が何をできるか」を決めたあと、組織ポリシー、VPC Service Controls、鍵の管理、アクセス経路の制御を重ねて、権限を持つ人や盗まれた認証情報でもできることを狭めます。
- コンプライアンスとデータの所在
Google Cloud が認証を取っていても、設定とデータの扱いの責任は利用者に残ります。データの所在はロケーションの選択と組織ポリシーで、より厳しい要件は Assured Workloads で、監査は Cloud Audit Logs で満たします。
- 可用性と災害復旧
DR の構成は、許容できる停止時間 (RTO) と失ってよいデータの時間幅 (RPO) から逆算して選びます。どちらも短いほど、待機側で動かしておくものが増え、費用が上がります。
- 移行の計画
移行は、Migration Center で今あるものを棚卸しし、ワークロードごとに移行の型を決め、移すものの種類で道具を選ぶ順に進めます。
- コストの最適化
費用は、使っていないものを止めてサイズを合わせ、残った常時稼働の分に確約利用割引を買い、止まってよい処理を Spot VM に回す順で下げます。
- Well-Architected Framework
5. 実装と運用
- IaC とデリバリー
インフラは Terraform で書き、アプリは Cloud Build でビルドして Artifact Registry に置き、Cloud Deploy で段階的に出します。試験では、手作業を減らし、問題が出たらすぐ戻せる構成が正解になります。
- 可観測性と信頼性の運用
指標は Cloud Monitoring、ログは Cloud Logging、遅延の内訳は Cloud Trace で見ます。アラートは原因ではなくユーザーが受ける影響に付け、SLO とエラーバジェットでリリースの速さと信頼性の釣り合いを決めます。
- 業務プロセスと組織
試験ガイド 4.2 の設問は、技術の知識がなくても選べる形で出ます。事業の目的に照らして関係者の懸念を先に聞き、小さく試し、チームが運用できるものを選ぶ答えが正解になります。
- IaC とデリバリー
6. 試験対策